ラム薫るケーキ ネグリタ
ネグリタラムたっぷりのフルーツケーキを、売るときと同じようにパッキンして、自宅で1週間置いてみた。
どのくらい日持ちがするのか知りたかったし、焼いて数日後に食べるお客様になった気分で試食した。
ラムが生地にしみ込んでいる。
しっとりして、焼きたての若い味とはまた違う魅力。
「おいしいじゃないか!」
夫が感動している。
「このくらい(たっぷり)ラムを使っているからな。そうそう悪くもならないだろう。これ絶対いけるよ!うまい!」
おいしい。本当に。
無愛想なアジュールの彼が聞いたら、ふっと笑うだろうか。
こびない味。
これほどのものを作る、町のケーキ屋さん、アジュールの彼っていったいどんな人だろう。
何度かお話しているのに、得体の知れない人。
怒ったような物言いが、実直さと飾らない素直さと。
どっしりとした重たいケーキは、彼の力強さを物語るような・・・
それはそうと、私と夫はHPにのせるこのケーキのコピーを考えていた。
スリランカの草薫る、ほろ苦いヌワラエリヤとラムのケーキは相性バッチリ。
この感動をどうしたらお客様に伝えることができるのだろう。
自分の言葉で、それこそ飾らず、素直にそのまま伝えるにはいったいどうしたら・・・
語彙の稚拙さに、時として自分に失望する。
もどかしい。
今日、友達が買ってくれた紅茶のフィルムが破れていたと連絡を受けた。
お渡しするときは破れてなかったのに、と不思議に思ったら、一回自分のところで縛っていた麻紐をほどいて、おすそ分けしたらしい。
持ってきてもらった木箱は悲惨なくらい破れていた。
代替品を差し上げる。
HPにフィルムの破損についての記載が必要だと痛感した。
まだまだ開店までの道のりは遠いようです。
焼きたてガレット&ケーキ
焼き菓子の写真を撮りに出かけた。アジュールのオーナーと約束してたのだ。
夫と一緒に厨房に入れてもらう。
焼いたばかりのケーキとガレットが仲良く並んでいる。
「きれいに焼いてくれましたね!」
喜ぶ私に、アジュールのオーナーは、
「今度は天板を2枚にしたから、焦げなかったよ。」
と嬉しそうに言った。
夫がうまく写真を撮ってくれた。
私はお店の邪魔にならないように、さっさと帰ろうとするが、夫は彼と話をしている。
いつも無愛想なオーナーが、少し笑っているように見えた。
「アントルメ&タルト賞・・・これすごいじゃい。」
夫が驚くと、
「入賞の自信はあったんだけど、金賞とは思わなかった。」
ぼそぼそっと、彼らしい答え。
へえ、そうなんだ。でもアントルメってなんだろう?
家に帰って、写真を取り込む。トップページがぐっとよくなった。
美味しそう~!
これならいけるよね!
夫と話した。このお菓子が定番になるといいね。
息の長い商品になると嬉しい。
でもお菓子は数日で食べ終わっても、紅茶はそうすぐにはなくならない。
売れ筋商品を考え続けるのは、不誠実のような気がして、なんだか苦手。
「自分がいいと思ったものをいつでもお客さんに提供するのが一番いいんじゃない?」
夫に言われてほっとする。
儲かる、ということを考えると億劫だけど、伝える、という風に考えればWEBショップは続けられるかも。
自分が美味ししと思ったもの、いいと思ったもの、自分の言葉で紹介していければ。
文章を書くのに似てる、WEBショップって。
そんなことを考えながら、撮って来た写真を眺めました。
WEBショップへの道 焼き菓子
ためしに焼いてもらったケーキを買って帰った。
ラムの香り立つ「ケーク・オ・フリュィ」
トッピングにナッツを散らしてある。
どことなくレトロなケーキ。
使ってあるラムは、「ネグリタ」
黒い女の子、と言う意味である。
マルチニック諸島からフランスのボルドーに送って、さらにそこで熟成させた、製菓用の香り高いラムである。
箱を開けるたび、ラムのいい香りがぷんぷんにおってくる。
「こんなにラムを使ってもいいですかねえ?」
アジュールの彼は言う。
「私は重たいのが好きだから」
そうはいったものの、においだけ嗅ぐのと食べてみるのとでは大違い。
夫は喜んでいたが、お酒に弱い私は一切れ食べて酔ってしまった。
でも美味しい。
口の中でほろほろっと崩れる感じが、いい。
気になったのは「焼き色」。
「もうちょっと焼き上がりを軽くできないかしら?」
「このくらい焼かないと!焼き色はしっかりつける。」
彼は確固として譲りそうもない。
フランスのお菓子屋さんみたい。
そこが彼のいいところ。
包装についても、きれいにラッピングしようと提案する私に、彼はそんなところにお金をかけないほうが・・・とラッピングに興味ない。
近所のお客さんは、彼のお菓子を普段着のおやつとして買いにくる。
特別なお菓子じゃなくて、毎日食べるもの。
だから、余分なお金を払ってまでも欲しい、というネットのお客様の気持ちは分からないかもしれない。
安くて量があったっほうがいい、という彼の考えは、私にもわかる。
家に帰ってケーキの写真を撮りながら考える。
私はこのケーキを売ることができるのだろうか。
対面販売とは違って、ネット販売は、
たった一度でも、ちょっとしたことでも気に入らないことがあると、
そのお店の商品すべての信用も失いかねない。
失敗は許されない、と思うと、急に怖くなった。
自分の気に入っているお店のケーキを、人様にも愛されるようにするには、どうしたらいいだろう。
ケーキは保留のままだが、スリランカティーのオープニングセットを作ってみた。
ウヴァ、ディンブラ、ヌワラエリア、の3つと、ティーキャディースプーン。
ジュートで作った袋に入れてみる。
素朴で、木箱の雰囲気に合うと思う。
限定20セット。
ちょっと無理してお安くしたので、この機会に飲み比べてくれたら、と思う。
とてもゆっくりですがひとつずつ準備しています。
近所の公園でアフタヌーンティ
天気がいいので、写真を撮ろうと公園に足を伸ばした。
実は体調がずっと優れなかったので、外の空気を吸うのも目的だった。
桜が満開で、お花見のお祭りか、近所の公園は人出でいっぱいだった。
芝生に紅茶の木箱を置いて撮るつもりだったが、何せ人が多くて、布を広げる場所もない。
やっと場所を確保しても、すぐそばを人が歩く。雲で陰る。子どもが横切る(笑)
なかなかシャッターチャンスに恵まれない。
子どもたちが遊ぶのを眺めながら、2時間芝生の上で過ごした。
花壇に植えてあるチューリップがきれい。
ラベンダーも咲いている。芝生の陰に隠れて、つくしもぴんと背筋を伸ばしたように咲いて?いる。
春だわ、と当たり前のことになんだか感謝したくなった。
時は流れ、自然の恵みをまんべんなく与え給う。
具合が悪いのもいつの日か治るだろう。治らなくとも、私は幸せなのだ。病気と向き合って、または末永く付き合って生きていくことも、悪いことではない。
今ある幸せにだた感謝。
すぐそばに夫がいて、子どもたちがはしゃぐ声が聞こえる。
春の恵み、息吹、身体で感じ取る。
用意してきたティーカップに紅茶を注ぐ。
夫が写真を撮ってくれるが、すぐそばが海なので、風が幾分強い。
切り株の上に敷いたクロスが飛んでいってしまいそうだ。
何枚か撮って、ティーブレイク。
もちろん紅茶は冷めてしまっていたが、屋外に持っていくものとはいえ、家できちんとポットで入れてきた紅茶は、冷めても美味しい。
「うまいなあ。外だと余計に美味しく感じるよ。」
公園の片隅で、ティーカップとソーサーで頂くへんな夫婦(私たち!)
こんどは場所を変えてみようよ、横浜の外人墓地はどう?
夫がヘンなことを言う。
外人墓地!そんなところでお茶するの!?
この間仕事で行ったら、きれいでびっくりしたんだよ。ここが日本って信じられなくて。人もいないし、いいよ♪
撮影にはいいのかもね(笑)
でもイングリッユの幽霊が一緒にアフタヌーンティーにきたらどうするの!
それも紅茶屋の特権かしら?
こんどの午後のアフタヌーンティーはどこにしましょうか。
菓子工房AZUR アジュール
先週から約束をしていたのだ。
パティシエの印象は「板前」
フランス菓子のパティシエには見えない(失礼!)
でも彼はとても実直で、素直で計算高いところなどみじんもなく、好感のもてる人柄だ。
お菓子を焼いてもらえませんか?
と最初に頼んだときには、その人柄までは私は考えなかった。
ただ、ここのお菓子が、気取っていなくて、素朴で、でも重たくて食べ応えがあるということに魅力を感じていただけだった。
でもそれはそのまま彼の人柄なのだと気付いた。
その人が作る作品は、そのひとそのまま・・・
当たり前なんだけど、それに気付かないでいたなんて。
ご縁あって、紅茶を扱えて、そのうえお菓子を焼いてくれるところにも出会えた。
「AZUR」
紺碧、というフランス語だ。
青くどこまでも続くメディテラネの海を思い出した。
それは、私が初めて訪れたフランス、モンプリエから車ですぐの名前も知らない海の色。
私が育った博多の海、
頂いたご縁を大切に、この「AZUR」の彼が焼いてくれたお菓子を、長くお客様に愛されるように、販売しなくてはならない。
それは彼と一緒で、実直で、素朴、でもずっしりと中身の詰まった愛すべき人たちと出会いの連続かもしれない。
紅茶簡単パウンドケーキ
茶葉で何か作れないかと、ケーキを焼いてみた。
家に常にあるものでできるような、片手間に作れる簡単なお菓子。
アールグレイのような薫り高い茶葉なら、人気も高いが、
スリランカティーは、いかんせん認知度が低い。
ウバを知っている人が若干いるくらいだが、
その他の種類との味覚の差は、さほど知られていない。
やはり紅茶は、ダージリンが圧倒的な強さの人気を誇る。
次いでアールグレイ、アッサムくらいだろうか。
そのほかの人たちは、茶葉の種類で選ぶと言うよりも、
フォションやエディアール、フォートナムメイソン、
ハロッズという有名ブランドで選ぶ。
それは紅茶が、ギフトとして買い求める人がほとんどで、
コーヒーのように、自分で焙煎して、という凝った飲み方をしないからだ。
紅茶をより多くの人たちに飲んでもらうためには、
茶葉のテイスティングも必要だが、
紅茶の歴史、ポットやカップの選び方、ティーグッズの素晴らしさ
といった付属の啓蒙活動が必要だろう。
紅茶を飲むと言うことは、
とても優雅な時間を過ごすということだから。。。。
紅茶のパウンドケーキ
材料 薄力粉 90g 重曹 小さじ1
アーモンドパウダー 30g
たまご 2個
バター 100g
砂糖 90g
作り方
1、バターを常温に戻して、よくすり混ぜる
2、砂糖を加え、白っぽくなるまで混ぜる。
3、1と2が混ざって、ふわふわになったら、溶いた卵を少しずつ加える。
ここで、紅茶の登場です!
4、大さじ1杯の茶葉を、カップ1の牛乳で沸かす。
5、沸騰して1分ほどしてから火を止める
6、あら熱を取って、3にこのミルクティーを手早く混ぜる。
7、アーモンドパウダーを混ぜる。
8、薄力粉、重曹を一緒にふるっておいたものを、さっくりきるように混ぜる。
9、170度に予熱しておいたオーブンで、50分ほど焼く。
焼き立てよりも、当然少し(1、2日置いた方が美味しいです!)
茶葉はウバ、ディンブラ、ヌワラエリア、なんだっていいと思います。
ケーキと同じ茶葉で、午後のアフタヌーンティーはいかかですか?
アフタヌーンティー
CTCとは、CRUSH(つぶす)、TEAR(引き裂く)、CURL(丸める)という意味である。
硬水のイギリスではこのような加工をしないと茶葉の成分がうまく溶け出さないからだ。
濃いお茶を飲む私はもちろんCTC加工に満足している。
そしてニルギリ。地理的にも近いせいか、セイロンティに煮た味わいと香りを持つ。普段セイロンティを愛飲している私の好みの茶葉である。
大好きなヌワラエリアよりも爽やかで香りがやさしい。
2400Mの高原がはぐくんだ味である。
ニルギリとは「青い山」という意味だという。
その名の通り青い山々を背景にした避暑地であり、農耕、放牧、養蜂、狩猟などに従事していた地方だ。ニルギリの茶園は小規模であるので、プランテーション形式ではない。
インド茶園での多くはプランテーション形式で、そこで働く人々は生活のすべての拠点をプランテーション内に置いている。
住居、学校、病院、寺院までも完備、ひとつのコミュニティといえるだろう。
学齢期の子どもの労働は禁止、学齢期前の子供たちは茶摘の母親と一緒に、一日中茶園で過ごすことが多いという。
なんとものどかでなないか。
賃金は決して高くはないが、安心して労働、生活ができることを思うと不足はないのかもしれない。
東インド会社がたどった道のりは近代インドの歴史だ。
イギリスの東インド会社が覇権争いに勝ち、その盛衰とともに茶の歴史もある。
だがインドはムガール帝国だった悠久の歴史を持つ国。ガンジス川では今も沐浴をする人々であふれ、神の遣いである牛が道を往来する牧歌的な国。
西遊記では三蔵法師が有り難いお経をもらいに遥々旅した「天竺」。それが私の中にあるインド。
インドに行ったら、広大なプランテーションで茶摘を体験し、山の谷間から沸きあがる雲を眺めながらちっぽけなことを忘れよう。
カルカッタの喧騒の中、素焼きの器でチャイを飲んだあとは思い切り割って憂さを晴らそう。
インド映画を見たらインド舞踊を習ってみたいと思うかも!?
洋品店でクルタを買い、紅茶専門店で茶葉を買い込んだら、サモサスタンドでちょっと立ち食い、カルカッタの町をぷらぷら見て回った後は、マサラの香りたつインド料理に舌鼓を打つ。
午後は買ってきたニルギリを飲みながらそんなことを考えた。